2025年柔道ルール改正の完全ガイド〜中学生が知っておくべき変更点

2025年から柔道のルールが大きく変わりました。このレポートでは、国際柔道連盟(IJF)が導入した新ルールと、特に中学生の試合に影響する変更点を分かりやすく解説します。

柔道ルール改正の背景

今回のルール変更は、柔道をより分かりやすく、面白くするために行われました。特に技で試合を決着させることを重視し、「指導」による決着を減らすことが目的となっています。ゴールデンスコア(延長戦)が頻繁に発生していた問題を解決するため、技の評価を細分化し、ペナルティの緩和も行われました。

「有効」ポイントの復活

新しいスコア体系

2025年の最大の変更点は「有効」ポイントの復活です。2017年に廃止された「有効」が再び導入され、技の評価が3段階になりました。

  • 「一本」:完璧な技(変更なし)
  • 「技あり」:一本に近い技
  • 「有効」:新たに復活した中間評価

「有効」が与えられる状況

「有効」は以下のような場合に与えられます:

  • 尻餅をついた場合(上半身が背中側に90度以上傾く)
  • 背中上部に着地した場合
  • 肘をついて背中側に90度以上傾いた場合
  • 体側面で着地した場合(背中側に90度あるいは若干うつ伏せ)

抑え込みの時間変更

抑え込みによるポイントも変わりました:

  • 「一本」:20秒間(変更なし)
  • 「技あり」:10秒間(変更なし)
  • 「有効」:5秒間(新設)

中学生の試合に直接関わる重要な規則変更

少年大会特別規程について

中学生以下の試合では、国際ルールに加えて「少年大会特別規程」が適用されます。この規程は選手の安全を守るために特別に定められたものです。

袖や裾に指を入れる行為は引き続き禁止

国際ルールでは「立ち姿勢において相手の上衣の袖の中に指を入れる行為」と「寝姿勢において相手の袖・下履きの裾の中に指を入れる行為」が認められるようになりました。しかし、中学生以下の試合では、安全面を考慮して、これらの行為は引き続き禁止されています。

これを行うと「待て、指導」となるので注意しましょう。この規程は2025年4月1日から施行されています。

禁止される動作

中学生の試合では、以下の行為は引き続き禁止されています:

  • 関節技および絞技を用いること
  • 逆背負投(通称「韓国背負い」)を施すこと
  • 両膝を最初から同時に畳について背負投等を施すこと
  • 無理な巻き込み技を施すこと
  • 相手の頸を抱えて大外刈、払腰などを施すこと
  • 両袖を持って投げ技を施すこと

その他の主な規則変更

ベアハグ(抱え込み)のルール変更

ベアハグを施す際のルールが変わりました。袖及び襟を掴んでいない状態から直ちにベアハグを施すことは認められますが、手と腕で輪を作ってベアハグを施した場合は「指導」が与えられます。

帯から下への攻撃・防御の緩和

帯から下への攻撃・防御については、内股上部(両脚の付け根の水平のライン)までのレベルであれば掴むことが認められるようになりました。ただし、内股上部より下に腕や手で脚を引っ掛けたり、脚を抱えたりする行為は引き続き禁止されています。

「技あり」の定義の変更

「技あり」の評価基準も微調整されました:

  • 最初の着地から2回目の着地まで中断があるものも「技あり」となります
  • 体側面が着地し背中側に肩のラインが90度を超えて倒れた場合も「技あり」となります

組み方のルール緩和(一般向け)

一般の試合では組み方のルールが緩和され、立ち姿勢において相手の上衣の袖の中に指を入れて組手を取ることが認められるようになりました。しかし、前述のとおり中学生以下の試合では引き続き禁止されています。

まとめ…中学生が特に注意すべきポイント

  1. 「有効」という新しいポイントが復活し、技の評価が3段階(一本、技あり、有効)になりました。
  2. 中学生の試合では、袖や裾に指を入れる行為は依然として禁止されています。これは国際ルールでは認められるようになりましたが、安全面を考慮して日本国内の少年大会では引き続き禁止されています。
  3. 関節技、絞技、逆背負投(韓国背負い)などは、中学生の試合では引き続き禁止されています。
  4. 寝技の攻撃・防御において、脊椎及び脊髄に損傷を及ぼす動作は「待て」と宣告されます。

これらのルール変更を理解して、安全で楽しい柔道を実践しましょう。特に中学生は、少年大会特別規程の内容をよく理解し、安全に配慮した練習と試合を心がけることが大切です。

参考:
このレポートは2025年4月時点の最新ルールに基づいています。今後も柔道のルールは改正される可能性があるため、常に最新の情報を確認しましょう。


参照URL:https://www.judo.or.jp/news/16767/
参照URL:PDFファイル

高屋柔道教室解説用スライド

こちらは高屋柔道教室で実施時に使用したルール改正説明用のスライド資料です(手書きで分かりやすい!!)。より具体的に詳しく分かりやすく説明してくれました!